2015年 11月 07日

〔5日目〕John Muir Trail2

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地図のないトレイルを進む。
頼るべきは微かな踏み跡&馬のフン。
最後までハラハラさせられっぱなしの最終日。








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昨晩もずっと夢を見ている気がする。
今まで知り合った人が次々と登場する夢。
断片的且つ抽象的でストーリー性は全くナイ。

9月14日(月)6:00am。気温12℃(テント内)。
夢で目が覚めてボ〜ッとしていたらアラームが鳴った。







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昨日の爪はがれで負傷した妻の荷物をパッキングし直す。
重たいものは極力自分が持ち、軽いものだけを詰め込む。

7:20am ハイク開始。ゆっくりだけど歩けそうでひと安心。







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森を歩いていると黒いモノが猛烈な勢いで向かってくる。
身構える間もなく我々の横を走り抜けていく。大型犬だ。

首輪があったからミューアトレイルランチで飼われている犬か?
だけど飼い主は見当たらない。正直、生きた心地がしなかった。







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しばらくすると今度はモーター音。

「こんな森の中でいったい何の音だ?」
振り返るとトレイル上にゴツい4WDが。

後ろの荷台に3人乗っていて我々に手を振ってくる。
おそらくミューアトレイルランチで働くスタッフだろう。
この車でフローレンスレイクから物資を運んでいるようだ。







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8:30am 森が途切れたところで、







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朝食(小休止)。







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出発しようとして気付く。

山と道 FRAME PACK ONEのショルダー部分が破損している。
(中の白いスチロールのような緩衝材?がパキッと割れていた)
原因は自分のパックパックへの荷重増。それしか考えられない。







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10:20am フローレンスレイク分岐。

ウォータータクシーに一縷の望みを託していたが
1週間前の9月7日(月)が最後の運行だったようだ。
つまりオフシーズン。道理で誰にも出会わないワケだ。







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妻の歩くペースが極端に遅くなる。

剥がれかけた爪に下り道は相当な負担だろう。
見兼ねて妻のバックパックを前に背負って歩く。







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・果たしてゴールの登山口に人はいるのだろうか?
・更にヒッチハイクして街まで辿り着けるのだろうか?

はやる気持ちで足早になりそうになるのを抑えながら歩く。
天気は曇り空からシトシトした雨へ。不安に拍車が掛かる。







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1:00pm 岩の登山道から街灯が見えた。
どこからか、発電機が稼働している音も。
間も無くしてトレイルヘッドを示す看板が。

人工物がこんなにも嬉しくアリガタイとは…。

GOALの喜びもつかの間、帰る手段を探さねば。







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発電機の音を辿っていく。

土木作業員が集まっていたので
勇気を振り絞って飛び込んでみる。


自分 :「我々はハイカーです。今朝、ミューアトレイルランチから来ました。
     これから街まで降りたいのですが、何か手段をご存知でしょうか?」

作業員:「(一同)…あるわけないだろ!」
    「俺たちにはよく分からないが、向こうの"ストア"に行って聞いてみな。」
    「それか駐車場で待って、来た人を捕まえてヒッチハイクしてみるんだな。」


なんともつれない返答…。







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強面の作業員たちに礼を言い、その場を離れる。

が、目当てのストア(管理棟)はオフシーズンでクローズ。
駐車場も無人。こんな雨の日に来る人なんているワケない。

「マズい、帰る手段がない…」雨の中、途方に暮れる我々。







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すると前方から車が。
我々の手前で停車する。

作業員:「乗っていくだろ?」

よく見れば、先ほど質問した土木作業員の一人。
今日は雨で作業終了との事。グッドタイミング!











この髭面のマッチョガイ、名前はマークさん。

ずぶ濡れの我々を気にすることなく座席を確保。
「狭いけど」「揺れるからシートベルトしろよ」
ガタイに似合わず(失礼)、やたら親切だった。

道は舗装されてない山道で、とんでもなく揺れた。
が、我々は安堵感で一杯。「とにかく助かった〜」







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フローレンスレイクからフレズノの街までは90マイル(約144km)。

例えるなら中央自動車道で東京から長野まで行けてしまえる位の距離。
所要時間=約3時間。タクシーなんて呼んでもココまでは来ないだろう。
そういう意味では、奇跡的にヒッチハイクできて本当にラッキーだった。







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「俺らは困っているヤツがいたら放っておかねえよ」

なんとマークさん、ホテルの真ん前まで送ってくれた。
江戸っ子的アメリカンガイ!本当に本当にありがとう。








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5日ぶりにシャワーを浴びてスッキリ。
無精髭やガッサガサのくちびるは勲章。







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気温26℃。下界はまだ夏の余韻。

数時間前までシエラネバダの山中を
歩いていたことが夢のように思えた。







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近くのレストランで祝杯。コーラが体に染みわたる。

とにかく無事(?)に終えることができて良かった。

高山病や山火事の煙や爪剥がれやらで大変だったけれど、
ふつふつこみ上げる。『次はスルーハイクっきゃない!』


ハンバーガーを頬張りつつ、5日間の短い山旅を振り返った。









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〔5日目(最終日)〕

■歩行距離:約15km
■歩行区間:ミューアトレイルランチ 〜 フローレンスレイクトレイルヘッド







by ishida1011 | 2015-11-07 00:00 | 山旅


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