2019年 01月 03日

[Day1,2] John Muir Trail5

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ー「幸せ」は「辛さ」があって感じるもの ー

「そんなキャラじゃないでしょ?」思わずツッコミたくなる。
誰かの言葉をさも自分の言葉のように使うなんてカッコ悪い。

でもあの時ばかりはすんなり受け入れられた。祝福の朝日だった。













8月19日(日)。晴れ。

朝イチでウィルダネスセンターにパーミットを取りに行って
そのまま予約していたハイカータクシーでトレイルヘッドに
向かう。まずはメインストリートを歩いて馴染みのパン屋へ。

通りを歩いていて目に入るのが「山火事従事者割引」の文字。
観光に頼っているマンモスレイクにとって彼らは英雄なのだ。




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ビショップという街で知った人気のパン屋「シャッツ・ベーカリー」。
そのマンモスレイク支店。朝7時だというのに車が引切り無しに来る。










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搾りたてのオレンジジュースとあと何を買ったんだっけ?
全く思い出せない。カップケーキがアメリカっぽかった。










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8時の開店に合わせてウィルダネスセンターへ。
2、3人待っていけどすぐに対応してもらえた。

一通りのいつもの注意事項にウンウンうなづいて
笑顔でサイン。15分程度で無事パーミット取得。










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ハイカータクシーで100kmほど離れたTaboose Creek Trail Headへ。

「申し訳ないけれど道がダートだから登山口の途中までしか行けない」
と運転手。「道路から登山口まで6マイル(9.6km)あるんだよ」と。
去年同じところを降りてきたから知っていた。だけど少しでも登山口の
近くまで進んで欲しかった。結局、約4マイル(6.4km)手前で下車。


猛烈に暑い。マンモスレイクの涼しさとは雲泥の差。標高が1,000m程
低いというのもあるが、暑さと乾燥で自然発火して山火事が起こるのも
あり得るなと思えるレベル。何というか出歩いては危険なレベルの熱波。


「そもそも登山口まで辿り着けるのか?」暑さでフラフラになりながら
歩いていると後ろから四駆の車が来た。二人とも躊躇なくヒッチハイク。
今日山から降りて来る息子を登山口まで迎えに行く途中のご両親だった。
「予報では華氏100℉(摂氏37.8℃)もあるのよ!!全くクレイジーだわ」










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正午、ようやくスタート地点に。

だが既に体力、気力共に削られている。

歩くたびにどこかで飛び上がるイナゴ。
生命力はおそらく我々より上だろうな。










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妻の様子がおかしい。

暑さで足取りが重いのだとずっと思っていたが、
「途中の川を越えられる自信がない」とのこと。










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昨年の残雪期、同じ場所を下山してきた我々は途中
増水してハードな渡渉ポイントがあり、小柄な妻は
恐怖心と戦いながらなんとか渡り切ったのだけども
そのトラウマと、PCTハイカーが渡渉で亡くなった
ことが重なって、渡渉自体が強迫観念となっていた。










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左手の茂みを流れるtaboose creekの水音が聞こえる度に
去年の渡渉の光景や感情が蘇って不安が増幅していたのだ。

「この暑さだから、水の量は比較にならないほど低いハズ」
「とりあえず川まで頑張って、そこで渡れるか判断しよう」










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ココから先は一切写真を撮ってない(撮る余裕がなかった)。

画像は去年の渡渉箇所の水量。実際はこの1/3程度だった。
しかし、妻はそこに着いた瞬間、半分パニックに陥っていた。
泣きながら「渡れない、引き返す」の繰り返し。どうするか。

自分の判断では、去年と比べれば楽。地面の岩も見えていた。
水圧も弱い。問題は妻のメンタルを前向きに持っていくこと。

1. 去年より水の量は少ない。足の置き場所も明確に分かる。
2. 去年はストックを流してしまったが、今年は2本共ある。
3. 自分が往復し手本を見せる。バックパックは自分が持つ。

冷静に論理的に説明するが、ダメ。何度も何度も言い聞かす。
「やってみて無理そうだったら引き返そう」何とか説得する
までに約1時間。サポートしながらどうにか渡渉に成功した。

おそらく妻の感想は「あれっ?」だったと思う。簡単だった。
去年の恐怖感に支配されてナーバスになっていたのだと思う。


渡渉後、暮れかけの山道からほど近いテン場に幕営。思った
以上に進めなかったけど、妻が渡渉できたからヨシとしよう。















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《JMT DAY2》

8月20日(月) 晴れ。
4時起床。5時半出発。

パス(峠)を超えるハズだった昨日の遅れを
取り戻すべく、少し早めの出発。気温14℃。










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花崗岩の岩肌が徐々に赤くなる。










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バックパックには渡渉で濡れた靴下。

日本の街中でやったら変な目で見られそうだが
JMTだとなぜかサマになる。実際数時間で乾く。










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標高3,460m(11,352フィート)のパスを
目指して、気温の低い午前中に越える作戦。










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調子は良さそう。










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11時頃、Taboose Passを通過。

標高11,352フィート(3,460m)ってコトは
約2,300mを登ってきたワケで。頑張ったなぁ。










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パス越えはまるで新たなステージに突入する感覚。
もちろん道は続いてるのだけど見える景色が違う。










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JMTに合流し、程なくキングスリバーへ。

・ ・ ・ ・ ・

山を歩き慣れた人でも命を落とすことがある。
たとえ装備や技術、体力面で申し分なくても。
山の神に魅入られたのかと思わざるを得ない。

去年PCTを歩いて、雪解けにより増水した川
を渡渉中に惜しくも亡くなられたモリタさん。
(トレイルネーム:ストロベリーさん)

1日遅れで同じ区間を歩いていた我々は川の
手前でエスケープしたけど、それは反対から
来たハイカーがたまたまこの先の渡渉は危険
だと知らせてくれたから。

帰国後回避したその場所で彼女が亡くなった
と知って、他人事ではいられなかった。同じ
小柄な妻は特に。

そんな事があって今年続きを歩く際には必ず
そこに苺を持って供えに行こうと決めていた。


流れのある場所に投げ入れ、両手を合わせる。
水量は少なくても川には渦があって、そこに
苺が吸い込まれていく。彼女の姿と重なって
心が締め付けられた。










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3時間後。

樹林帯を抜ける。ペースは順調。
緩やかなトレイルは歩きやすい。










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何もないな 誰もいないな
快適なスピードで
道はただ延々続く
話しながら 歌いながら

気付けば大声で歌っていた。










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17時頃、名もなきレイク沿いの
テン場(らしき)スペースに幕営。










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一眠りして再び目覚めると
山肌が赤くなり始めていた。










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テントの外へ。

無音だった。風の音も、鳥の鳴く音すら。
ただ自分の呼吸と靴が砂利を踏む音だけ。









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見知らぬ星に迷い込んだような
不思議な感覚に陥ってしまった。


同時に色んな感情が蘇ってきた。










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◇Day1:Taboose Pass T/H → 途中のテン場(標高1,700m)

◇Day2:途中のテン場 → Mather Pass直下のテン場


〔続く〕











by ishida1011 | 2019-01-03 09:54 | 山旅 | Comments(0)


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